マンションの換気はどうするのが効果的？コツや快適な空気の入れ替え方法をご紹介

マンションの換気の基礎知識

マンションは高気密・高断熱構造が一般的で、現代では冷暖房効率を重視して気密性が高く設計されており、その結果、室内に空気がこもりやすくなっています。自然換気だけでは十分な空気の入れ替えが難しく、湿気やにおい、化学物質も滞留しやすくなります。このような背景から、適切な換気対策がますます重要になっています。

建築基準法では、2003年（平成15年）の改正により、新築の共同住宅（マンションを含む）に「24時間換気システム」の設置を義務化しています。この制度は、居室の空気が1時間あたり少なくとも0.5回以上入れ替わるように設計されることが求められており、シックハウス症候群対策として健康的な室内環境を確保する目的で導入されました。

第一種換気は熱交換器を用いることで省エネ効果もあり、空気の流れや温度調整に優れますが、設備費・電気代ともに高めです。第二種は特殊環境向けで一般的な住宅にはあまり使われません。第三種は住宅やマンションにもっとも多く採用されており、換気経路がきちんと設計されていればコスト面でのメリットが大きいです。

24時間換気システムを活かす使い方のコツ

マンションに設置されている24時間換気システムは、常時稼働させることで室内の空気を清潔に保ち、シックハウス症候群や湿気・におい・カビの発生を防ぐ重要な設備です。まずは、システムを「常にON」にしたまま運用することが基本です。OFFにすると換気能力が低下し、化学物質や湿気がこもる恐れがあり、建築基準法の目的を損なうことになります 。

次に、冬場など室内が寒く感じられる場合の対策です。多くのシステムでは「標準／弱」など風量調節ができるため、必要に応じて「弱」に切り替えて換気量を抑えることが可能です。また、給気口に断熱や防音機能付きのフィルターを後付けすることで、冷風や騒音の軽減にもつながります。風を直接感じやすい場合は、給気口下部に厚紙を貼って風向きを調整する工夫も有効です 。

さらに、給気口・排気口の定期的なお手入れも重要です。数ヶ月に一度はフィルターやカバーを取り外して、掃除機でほこりを吸引したり、水や中性洗剤で優しく洗浄して、よく乾かしてから取り付けるようにしましょう。汚れがひどい場合は、交換や業者への相談を検討することも大切です 。

自然換気を効果的に行う方法

マンションで自然換気を効果的に行うには、まず窓の配置や開け方を工夫して「空気の通り道」を意識することが重要です。部屋の対角線上にある2か所の窓を開けると、空気の流れが生まれ、大幅に換気効率が向上します。例えば、窓1か所の換気回数は1.7回/hですが、対角線上に2か所開けた場合は16.6回/hと約10倍の効果が得られます。

また、窓の開け方にもコツがあります。風の入口となる側は少しだけ開け、出口側を大きく開けることで、空気が勢いよく流れる効果が高まります。温度差を利用した“温度差換気”も有効で、高い位置と低い位置にある窓を開けて自然に熱気を逃がしつつ、新鮮な空気を取り込みましょう。

窓が少ない間取りの場合は、扇風機やサーキュレーターを活用すると効果的です。窓やドアに向けて空気を送り出すことで、屋外との通気を促進できます。窓が1か所しかない場合は、扇風機を窓向きに置き、室内から外へ空気を送り出す配置にしてください。

湿気・におい・カビに効く換気の工夫

マンションの室内環境を改善するには、換気を効果的に活用することが重要です。まず、適切な換気によりシックハウス症候群の予防や湿気の除去、においやカビの繁殖抑制が期待できます。気密性の高いマンションでは室内空気がこもりやすいため、定期的な換気が欠かせません。また、窓を複数開けて空気の流れをつくる自然換気と、24時間換気システムの併用は、相乗効果が見込まれます。

湿気がこもりやすい条件としては、たとえば結露が発生しやすい窓まわり、浴室やキッチンといった水回り、あるいは収納や押し入れ内などがあります。こうした場所では、2時間に1回程度、5～10分程度の換気を行うことが推奨されます。特に24時間換気システムが未設置の場合、自然換気を定期的に行うことで湿気やにおいの滞留を防ぎます。

さらに、給気口や排気口にはホコリがたまりやすく、これが換気効率を低下させる原因になります。定期的なお手入れ、すなわちフィルターの取り外し・清掃や給排気口内部の拭き掃除を行うことで、清潔な空気の流れを維持できます。また、給気口に専用フィルターやカバーを設けることで、ホコリの侵入を抑えつつ室内環境の快適性を向上させる工夫もおすすめです。

以下に、湿気・におい・カビ対策としての換気工夫をわかりやすくまとめました。