避難時に安心できる不動産の選び方は？ポイントや注意点も紹介

避難を前提とした不動産選びの基本条件とその重要性

避難を目的とした住まい選びにおいて、まず確認すべきポイントは「災害リスク」です。近年、日本各地で地震・豪雨・台風などの自然災害が頻発しており、災害リスクを軽視した住まい選びは後悔につながる恐れがあります。災害リスクの把握や予防対策は、安心して暮らせる住まいの第一歩です 。

そのために重要なのが「ハザードマップ」の活用です。洪水、土砂災害、津波、液状化などの予測範囲や程度を地図上で確認でき、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では全国のハザードマップをまとめて閲覧できます。また、避難場所や避難経路もこの地図で確認可能です 。

さらに「建物の構造・耐震性」も見逃せません。特に耐震性が高いとされるRC造（鉄筋コンクリート造）やSRC造（鉄骨鉄筋コンクリート造）は、地震や火災に対して優れた強度を持っています。構造の表記がアルファベットになっている場合もあるため、図面や情報をしっかり確認することが重要です 。

以下に、不動産選びで確認すべき基本条件を簡単にまとめた表をご覧ください。

これらのポイントを不動産選びの際に重視することで、災害に強い住まいを選ぶことが可能になります。特に「ハザードマップによるリスクの確認」「避難先とルートの把握」「構造による耐震性の確保」は、安全性を高める重要な視点です。

避難時にも住みやすい住居環境とは

避難を念頭に置いた住まい選びでは、まず建物の構造性能が非常に重要です。鉄筋コンクリート造（RC造）や鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC造）は、木造住宅と比較して地震や火災に対する耐久性が高いとされ、不動産図面などには「RC造」や「SRC造」と明記されることが多いため、物件を検討する際は意識して確認しましょう。

また、避難先としての住宅には、非常時の備蓄スペースや設備の確保が欠かせません。例えば、1人1日あたりの飲用水は約3リットルが目安で、家族4人であれば数日分の水だけでも大きな容量になります。そのため、玄関収納や床下収納、1階の安定した収納スペースなど、災害時でも備蓄品が取り出しやすい配置や間取りが望ましいです。

さらに、ライフラインが停止した際に備え、以下のような設備を備えておく工夫も有効です。例えば、太陽光発電や蓄電池システム、エコキュートやエネファームなどを用いることで、自家発電や生活用水の確保が可能になります。そのほか、非常用トイレやモバイルバッテリー、懐中電灯などの備蓄の導入およびその配置も、住みやすさの観点で考慮すべきポイントです。

以上のように、避難を前提とした住居環境とは、災害に強い構造と、備蓄や非常用設備が整備された間取り・仕様の両面を兼ね備えていることが重要です。

避難行動を意識した立地選びのポイント

避難時に安全に行動できる住まいを選ぶには、日常の利便性に加え、災害時の「命を守る立地条件」をしっかり押さえることが大切です。まず、指定緊急避難場所や指定避難所へのアクセス性を確認しましょう。緊急時に迅速に避難できるよう、徒歩で10分以内が理想とされ、自治体のハザードマップや防災アプリで所在や所要時間を事前に把握しておくと安心です。

さらに、近隣に防災公園や避難広場といった、各種災害時に一時避難や集結ができる場所があるかどうかも確認ポイントです。こうした公共空間は、災害時に地域の避難拠点として機能するため、立地上の安心感を高めてくれます。

最後に、避難経路の確保も忘れてはいけません。災害で主要道路が塞がれることを想定し、複数の避難経路が確保できる道路構造や安全な動線が周辺に存在するかをチェックします。歩道・避難方向の交差点・広めの通りなど、異なる経路を事前に確認しておけば、どこかが使えなくなっても別のルートを選べて安心です。

在宅避難を前提とした住まいの備え方と住まい選びの進め方

在宅避難を考える際、まず注目すべきは“住み慣れた場所で避難できる安心感”です。災害時、避難所よりも自宅で過ごしたいと考える方は多く、その理由として「プライバシーが守られる」「普段と同じ暮らしができる」が挙がっています。実際に、災害時に避難所に抵抗を感じる理由として最も多いのは「プライバシーがないから」で、在宅避難を選びたいと答える人は多いことが分かっています。さらに、自宅避難の安全性を確保するには、建物の耐震性やライフラインが止まっても対応できる備えが重要です。

次に、備蓄を効率よく管理する「ローリングストック」の導入が重要です。これは、日常的に使用する食料や日用品を多めに購入し、使った分を随時補充する方法で、常に一定量の備えを保てます。国も一週間分の備蓄を推奨しており、特に災害直後の72時間は救援物資が届かない可能性が高いため、この期間に備えることが大切です。

さらに、間取りや家具配置にも工夫が必要です。非常時にも生活しやすい自宅の空間としては、ユーティリティスペースなどを備蓄と日常収納を兼ねたゾーンにする設計が効果的です。また、寝室には大型家具を置かず、転倒リスクを抑える配置を心がけましょう。さらに、蓄電池や雨水タンクを設けることで、停電や断水にも対応できる住まいづくりが可能になります。

これらをふまえて、住まい選びを進める際には以下の観点で優先順位を検討されるとよいでしょう。

以上のような視点で、「避難時 不動産 選び方」を進めると、いざという時に落ち着いて行動できる在宅避難対応の住まいが実現できます。

まとめ

避難を前提とした不動産選びは、住まいの安全性や利便性だけでなく、万が一の際に家族を守るための大切な視点です。災害リスクの把握や避難経路の確保、さらには備蓄や非常用設備に対応できる住環境を整えることが、自宅での安心に直結します。事前の情報収集と準備を心がけ、慣れた環境で落ち着いて避難生活を送れるよう、住まい選びを進めていきましょう。